新型コロナウイルスの蔓延以降、いたるところで「抗ウイルスコーディング」という文字が見られるようになりました。しかし、そもそも抗ウイルスコーディングとは何なのでしょうか。
文字を見ればウイルスに対抗する対策だということはわかります。しかしながら「本当に効果が期待できるの?」と疑っている人はいませんか。ホテルや電車に乗っている時に見る抗ウイルスコーディングに「本当?」と疑う気持ちもわかります。疑いを抱いている人は、「抗ウイルスコーディング」について確認をしておきましょう。
そこで今回は「抗ウイルスコーディングとは?」について解説をします。効果やメリットと合わせて参考にしてください。
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抗ウイルスコーディングとは?
最近、目にすることが多くなった抗ウイルスコーディングの意味を確認しましょう。
抗ウイルスコーディングの意味
- 抗:ふせぐやさからう力のこと
- ウイルス:感染症を引き起こす光学顕微鏡でも見えない病原微生物
- コーディング:物体表面を定着可能な物質や物体で覆うこと
抗ウイルスコーディングは、言葉の意味を組み合わせたとおりのものです。ウイルスから守りたい物体を、定着可能な物質や物体で覆うことで防ぎます。モノに付着したウイルスを、不活性化する効果に対し利用される言葉です。商品名として利用されることもあれば、除菌業者が作業の完了内容として利用する場合もあります。
商品や作業する会社によって、コーディングするために利用される成分が異なるのがポイントです。同じ「抗ウイルスコーディング」をうたう商品や、除菌業者が提供するサービスであっても、効果が異なる場合もあるので注意をしましょう。
抗ウイルスコーディングの効果範囲
抗ウイルスコーディングは、物体に付着したウイルスを不活性化させるのが主な効果です。そのため、すべての感染経路に効果を発揮するわけではありません。新型コロナウイルスの主な感染経路は次の4つです。
主な感染経路
- エアロゾル感染:エアロゾル(空気中に浮遊する微小な粒)を直接吸い込むことで感染
- 空気感染:空気中に浮遊する病原体を直接吸い込むことで感染
- 飛沫感染:感染者の咳やくしゃみで排出されたウイルスを直接吸い込むことで感染
- 接触感染:感染者が触れたものを別の人が触りウイルスが体内に入ることで感染
抗ウイルスコーディングの効果範囲は接触感染です。感染者のウイルスがものに付着したあと、別の人の体内に入る前にウイルスを不活性化させます。ドアノブや壁に付着したウイルスからの感染を防ぐために利用するのが一般的です。
抗ウイルスコーディングは信頼できる?
抗ウイルスコーディングが信頼できるかは、商品の製造やサービスを提供する会社によって異なります。現在の技術的に言うと、ものに付着をしたウイルスの不活性化は可能です。しかし抗ウイルスコーディングを名乗るすべての商品やサービスで信頼できるとは言えません。
理由は誇大広告(事実以上に利点を強調している広告)です。エビデンスがなく、不確かな事実を紹介しサービスを提供する会社もあります。言い方は悪いですが、目に見えないウイルスに対するサービスなので、言ったもの勝ちという状況です。抗ウイルスコーディングは夢物語ではありません。実際に存在する技術です。しかし抗ウイルスコーディングの名を語り、悪いことを考える会社もあるので注意をしましょう。
抗ウイルスコーディングの成分
製品によって違うが主に次の3つを利用するものが多いです。
抗ウイルスコーディングの成分
- 光触媒
- 銀イオン
- プラチナ
上記いずれかの成分を表示していない抗ウイルスコーディングには注意が必要です。また、それぞれに違う特徴があることから、効果継続期間などに違いが生じます。
光触媒
抗ウイルスコーディングの中で最も利用されているのが光触媒です。紫外線を受けることで、ものにコーディングされている光触媒が、活性酸素を発生させます。発生した活性酸素により菌やウイルスが分解され、二酸化炭素や水に変わる仕組みです。
住まいの外壁をキレイに保つため、塗料などにも利用されています。光触媒が、壁についた汚れを浮かび上がらせ雨水で流す仕組みです。ウイルスの不活性化にも効果が期待できます。
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銀イオン
銀イオンは殺菌、抗菌性の高い素材です。細菌内部に侵入し菌を死滅させます。不安定な物質なので、すぐに別の物質と融合しようとするのが特徴です。ウイルスに侵入したあとは、たんぱく質やアミノ酸に結合します。結合することで不活性化につながるのです。
魏イオン自体が別の物質に変化するので、総量がだんだんと減ります。光触媒よりも持続性が短く、銀イオンのみが成分の場合は、短い期間で再度施工しなければいけません。
プラチナ
プラチナは、レアメタル(地球上に存在する量が少ない)と呼ばれる希少金属です。年間採掘量は金の20分の1程度、貴重なことがわかります。
抗ウイルスコーディングで採用されるプラチナは、常に電子を発生させているのが特徴です。ウイルスから酸素を奪い不活性化します。プラチナの効果はコーディングしたものだけではありません。周囲の空気も清潔に保つ素材です。
抗ウイルスコーディングのメリット
最後に抗ウイルスコーディングを利用するメリットを確認しておきましょう。
人体に影響がない
抗ウイルスコーディングに利用される素材は、人体に影響を与えないものがほとんどです。施工したあとすぐ部屋に入っても、刺激を受けるなどの問題が生じません。安心して利用ができるものばかりです。
ウイルスを不活性化させるほど強い効果を持つ素材ですが、近くで使用をしても人体への影響はありません。多くの人が行きかう場所でも安心して利用ができます。逆に、多くの人が行きかう場所だからこそ抗ウイルスコーディングを利用するべきです。
消毒作業が楽になる
抗ウイルスコーディングは、持続性のあるウイルス対策です。一度施せば商品によって異なりますが、長い期間効力を発揮します。長いもので「効力は5年」と掲げているサービスもありました。短いものは5日程度です。
効力が持続している期間は消毒をする必要がなくなります。逆に人が入れ代わり立ち代わり集まる場所で、抗ウイルスコーディングしていない場合は、定期的に除菌作業をしなければ危険です。人が触れた後は、アルコールを含んだ清潔な布で拭くなどの除菌をしなければいけません。
消毒作業が楽になることから、電車やバスのつり革に採用をされています。電車のつり革は、抗ウイルスコーディング仕様と提示されているものが多いです。混雑する時間帯の電車でできる接触感染対策は、抗ウイルスコーディングが一番ではないでしょうか。手間と効果の観点からも、抗ウイルスコーディングよりも優れた対策は見当たりません。
まとめ
抗ウイルスコーディングについて解説をしました。抗ウイルスコーディングは、接触感染を防ぐ効果が期待できるウイルス対策です。ただし、抗ウイルスコーディングが書かれていれば安心というわけではありません。誇大広告に注意が必要です。
騙されないために必要なのがエビデンスの確認ではないでしょうか。根拠を確認し、理にかなっているかどうかを調べます。正しい知識を持って判断することが大切です。注意するポイントを、消費生活センターや厚生労働省が発表することもあります。ただし、相談を受け調べたあとに発表されるので情報が遅いです。抗ウイルスコーディングを利用するときは、商品やサービスに問題ないかを自分の責任で調べてから利用を決めましょう。「99.9%以上を死滅」など、根拠が明白でない大げさな広告に騙されてはいけません。